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織部について/陶器販売のたぬき窯

織部について

織部(おりべ)は、今から四百年程前の桃山時代に、茶の湯と共に花開いた美濃の窯(岐阜県東濃地方)で焼かれた陶器のうちのひとつといえます。一般的には銅緑釉(どうりょくゆう)(銅により緑色に発色する釉薬)を施した陶器をさすことが多いようですが、黒釉を掛けた織部黒や銅緑釉を掛けていない絵織部などもあります。私的には、型にはまらず斬新で大胆にデフォルメされた造形などに象徴される、その時その時代においての一般概念を打ち破る革新的な陶器を総称して織部ととらえています。
もちろん織部と言う名称は武将で利休の高弟子であり茶人であった
古田織部(ふるたおりべ)によるものです。
一説には古田織部が今で言うデザイナーであり、織部好みの陶器を焼かせていたと言われていますが、はっきりしたことは分かっていないようです。ただ、当時茶の湯のリーダー的存在であった古田織部ですから何らかのかかわりがあったとしてもおかしくありません。ひとついえることは、織部は桃山時代の茶の湯の発展と陶工たちの創造力によって育てられた陶器といえるのではないでしょうか。

織部の形の特徴は、沓茶碗(くつちゃわん)などに代表される大きくデフォルメされ歪んだ造形などです。この沓茶碗の形などは唐津焼にも影響を及ぼしており、また織部にも唐津風の絵付けが施されたものがあります。このことから美濃の窯と唐津の窯との交流がかなり盛んに行われていたことがうかがえます。それほど、茶の湯の影響が大きかったのでしょう。
デザイン的にも生活全般から多種多様な文様・幾何学模様などが描かれており、現代アートにも通ずるところがあります。一般的に言われている織部の種類を下記にあげておきます。

志野織部(しのおりべ)

織部として焼かれたものではなく、志野を作ろうとして窯の様式の変更により次第に織部風になっていったものを志野織部といいます。志野は穴窯で焼かれていましたが、次第に熱効率の良い登り窯へと変わったことから温かみのあるふんわりとした志野独特の釉調が薄れ、下絵もはっきりと見えるようになり、光沢の強いものへと変わっていきました。現在でも穴窯で志野を焼かれている方がいるように、窯の温度が上がりにくく冷めにくい窯で時間を掛けてじっくりと焼かなければ、志野独特の釉調は得られないといえます。


絵織部(えおりべ)

白土に鉄絵を施して長石釉だけ掛けられたものを絵織部といいます。上記に書いた志野織部とは違い、明らかに織部としての意匠をもって作られたものです。銅緑釉が掛けられていないので、鉄絵の文様が強調されたものになっています。

青織部(あおおりべ)

部分的に銅緑釉を掛け分けて余白の所に鬼板(おにいた)(褐鉄鉱)などで文様を描いてあるものを青織部といいます。銅緑釉の緑色は、長石と土灰などの釉に銅を入れて酸化焼成することで得られる色です。この釉は還元焼成すると赤色に発色します。織部のなかには緑色が部分的に赤く発色したものも見うけられます。鉄絵の上には長石釉が掛けられています。織部といえばこの手のものを指すぐらい、種類も多く大量に作られている代表的な陶器です。但し、茶碗として作られたものはほとんど見られません。特に食器類が多く、鉢、向付などには三日月・舟形・扇の形など色々な形のものが見られます。

※下記写真の陶器は私が制作したものです。
たぬき窯陶芸工房では下記陶器を販売しています。写真をクリックすると、陶器の拡大写真及び詳細画面になります。


大地織部ご飯茶碗の詳細

大地織部ご飯茶碗

織部えのころ草文菓子器の詳細

織部えのころ草文菓子器

織部葡萄絵ぐい呑みの詳細

織部葡萄絵ぐい呑み

織部えのころ草ぐい呑みの詳細

織部えのころ草ぐい呑み

大地織部ぐい呑みの詳細

大地織部ぐい呑み

織部夜明け茶碗の詳細

織部夜明け茶碗

織部湯呑茶碗(えのころ草文)の詳細

織部湯呑茶碗(えのころ)

織部ぐい呑み(葡萄)の詳細

織部ぐい呑み(葡萄)

織部ぐい呑み(露草)の詳細

織部ぐい呑み(露草)

織部紫陽花文茶碗の詳細

織部紫陽花文茶碗

織部ぐい呑み(水仙)の詳細

織部ぐい呑み(水仙)

織部大地茶碗(夕景)の詳細

織部大地茶碗(夕景)

織部大地茶碗(緑山の滝-1)の詳細

織部大地茶碗(緑山-1)

織部大地茶碗(緑山の滝-2)の詳細

織部大地茶碗(緑山-2)

織部湯呑み茶碗(草文)の詳細

織部湯呑み茶碗(草文)

織部ぐい呑み(若葉文)の詳細

織部ぐい呑み(若葉文)

織部葡萄文徳利の詳細

織部葡萄文徳利

織部夕彩ぐい呑みの詳細

織部夕彩ぐい呑み

織部ビアカップ(蜻蛉)の詳細

織部ビアカップ(蜻蛉)

織部葡萄絵菓子器の詳細

織部葡萄絵菓子器

織部ぐい呑み(蜻蛉)の詳細

織部ぐい呑み(蜻蛉)

織部湯呑み茶碗(蜻蛉)の詳細

織部湯呑み茶碗(蜻蛉)

織部ぐい呑み(萩文)の詳細

織部ぐい呑み(萩文)

織部ぐい呑み(草文)の詳細

織部ぐい呑み(草文)

織部夕彩ぐい呑み(南天)の詳細

織部夕彩ぐい呑(南天)

織部ぐい呑み(南天)の詳細

織部ぐい呑み(南天)

織部夕彩湯呑み茶碗(若葉)の詳細

織部夕彩湯呑茶碗(若葉)

織部夕彩茶碗(萩文)の詳細

織部夕彩茶碗(萩文)


総織部(そうおりべ)

銅緑釉だけが器全体に掛けられたものを総織部といいます。皿などには、銅緑釉の下に文様を線彫りした物などが多く見られます。総織部の茶碗はほとんど見あたらず、皿、鉢、香合などが主で、変わったところでは香炉、(すずり)煙管(きせる)などの細工物が見られます。

※下記写真の陶器は私が制作したものです。
たぬき窯陶芸工房では下記陶器を販売しています。写真をクリックすると、陶器の拡大写真及び詳細画面になります。

総織部ぐい呑みの詳細

総織部ぐい呑み

総織部徳利の詳細

総織部徳利 

総織部ぐい呑み(印花)の詳細

総織部ぐい呑み(印花)

総織部徳利(小)の詳細

総織部徳利(小)

総織部湯呑み茶碗の詳細

総織部湯呑み茶碗

総織部ぐい呑み(釉だまり)の詳細

総織部ぐい呑(釉だまり)

総織部ぐい呑み(百草土) の詳細

総織部ぐい呑み(百草土)





黒織部(くろおりべ)

鉄釉を掛け分けて、掛け残した余白の部分に鉄絵を施し、その上に長石釉を掛けたものを黒織部といいます。瀬戸黒と同じ焼成方法で、焼成中の窯から引き出すことで急冷させて黒色に発色させたものです。黒織部と織部黒といえば沓茶碗というほど沓形の茶碗が多く見られ、文様も織部の特徴ともいえる幾何学文様が自由奔放に描かれた秀作が多く、陶工にとっても腕の見せ所だったのでしょうか。面白みのある茶碗がそろっています。ほとんどが茶碗なのですが、茶入れ、香合などにも良いものが見られます。


 ※下記写真の陶器は私が制作したものです。
たぬき窯陶芸工房では下記陶器を販売しています。写真をクリックすると、陶器の拡大写真及び詳細画面になります。
黒織部蜻蛉絵ぐい呑みの詳細

黒織部蜻蛉絵ぐい呑み

黒織部兎絵ぐい呑みの詳細

黒織部兎絵ぐい呑み

黒織部ぐい呑みの詳細

黒織部ぐい呑み

黒織部ぐい呑み(一)の詳細

黒織部ぐい呑み(一)

黒織部ぐい呑み(二)の詳細

黒織部ぐい呑み(二)

黒織部ぐい呑み(ふきのとう)の詳細

黒織部ぐい(ふきのとう)

黒織部めだか茶碗の詳細

黒織部めだか茶碗

黒織部菖蒲茶碗の詳細

黒織部菖蒲茶碗

黒織部湯呑み茶碗の詳細

黒織部湯呑み茶碗

黒織部ビアカップの詳細

黒織部ビアカップ

黒織部向付の詳細

黒織部向付

黒織部茶碗(蜻蛉)の詳細

黒織部茶碗(蜻蛉)

黒織部ぐい呑み(滴)の詳細

黒織部ぐい呑み(滴)

黒織部湯呑み茶碗(蜻蛉)の詳細

黒織部湯呑み茶碗(蜻蛉)

黒織部ぐい呑み(蜻蛉)の詳細

黒織部ぐい呑み(蜻蛉)


織部黒(おりべくろ)

 器全体に鉄釉が掛けてあり、黒織部と同じく窯から引き出して黒色に発色したものを織部黒といいます。織部黒もほとんどが沓茶碗で、口縁部分に鉄釉と長石釉を二重掛けして釉の変化をねらったものが多く見られます。その他に瀬戸黒に似た半筒形の茶碗もありますが、器面をヘラなどで削り手で形を整えるなど意匠の強いものとなっており、瀬戸黒とは違ったものといえます。
 ※下記写真の陶器は私が制作したものです。
たぬき窯陶芸工房では下記陶器を販売しています。写真をクリックすると、陶器の拡大写真及び詳細画面になります。
織部黒ぐい呑みの詳細

織部黒ぐい呑み

織部黒筒ぐい呑みの詳細

織部黒筒ぐい呑み

織部黒ぐい呑み(重掛け1)の詳細

織部黒ぐい呑(重掛け1)

織部黒ぐい呑み(重掛け2)の詳細

織部黒ぐい呑(重掛け2)

織部黒ぐい呑み(重掛け3)の詳細

織部黒ぐい呑(重掛け3)

織部黒ぐい呑み(重掛け5)の詳細

織部黒ぐい呑(重掛け5)


鳴海織部(なるみおりべ)

赤土と白土を継ぎ合わせて白土のところへ銅緑釉を掛け、赤土には白泥と鉄絵で文様を描き長石釉を掛けてあるものを鳴海織部といいます。青織部よりもカラフルで複雑な文様になっており、赤土の素地に白と黒を使い文様を強調することで立体感が生まれ、軽やかな動きのある文様といえます。継ぎ合わせて作るので型物の手鉢や向付が多いですが、ろくろ作りの沓茶碗にも良いものが見られます。鳴海織部の名称は名古屋の鳴海地方で作られたと思われていたため、この名称が付いたという説もありますが、はっきりしたことはわかっていません。

赤織部(あかおりべ)

赤土だけで作られており、素材の赤土に鉄絵で文様を描いたり、白泥と鉄絵で描き長石釉を掛けてあるものを赤織部といいます。素材の白土と銅緑釉のない鳴海織部ともいえます。香合や向付などに見られます。

伊賀織部(いがおりべ)

 美濃伊賀とも呼ばれ、三重県の伊賀焼の花生や水指などに倣って織部の窯で作られたものをいいます。伊賀焼は窯の燃料でもある木の灰が器面に付いて青緑色のビードロといわれる自然の釉だれが景色となっていますが、それを織部では白泥を部分的に掛け、全体に薄く土灰釉を掛けてからビードロの代わりに飴色の鉄釉を流し掛けにしています。
 

唐津織部(からつおりべ)

 

美濃唐津とも呼ばれ、絵唐津に倣って織部の窯で作られたものをいいます。唐津でも織部に倣って作られた沓茶碗などがあり、美濃と唐津の交流がうかがえます。

参考文献

日本陶磁大系12 織部 平凡社 1989年 藤岡了一 著
日本のやきもの2 美濃 志野・織部・黄瀬戸 瀬戸黒 講談社 1995年
黒田和哉/村山 武/古川庄作 著


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